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【BL漫画・BLコミックレビュー】僕をこんなにしておいて【単行本版】

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僕をこんなにしておいて【単行本版】 ――胸が締め付けられる、甘酸っぱい記憶と現在

この作品、一言でいうなら「胸が締め付けられるほど切ない、でもどこか温かい」です。 読み終わった後、しばらく放心状態になって、何度もページを繰り返してしまいました。 単なる性的な描写だけにとどまらず、登場人物たちの心の機微、そして過去と現在の複雑に絡み合う感情が見事に描かれていて、本当に感動しました。

忘れられない過去と、現在に蘇る記憶

主人公の斧塚は、過去のある出来事から地元を離れ、8年ぶりに戻ってきて弁当屋で働いています。 その配達先で出会うのが、問題児で、言葉遣いは悪く、態度も横柄な小説家の石清水。 「お兄さんチンポ貸してくんない?」なんて、いきなりそんなこと言われて、普通ならぶん殴りたくなりますよね!(笑) でも、斧塚は、その言葉の裏に隠された何かを感じ取っているように見えます。 そして、石清水との触れ合いを通して、斧塚の封印していた過去の記憶が、鮮やかに蘇ってきます。

繊細な描写が心を掴む

保健室での出来事、はぐれ者の仲間たちとの友情、そして初めてのセックス…… これらの描写は、決して露骨なものではありません。むしろ、控えめで、繊細な筆致によって、当時の斧塚の心情、そして周囲の人間関係が克明に描かれていると感じました。 特に、8年前の出来事と現在の出来事が交互に描かれる構成は、読者の感情を巧みに揺さぶります。 過去と現在の斧塚、そして石清水の姿を交互に見ることで、それぞれの心の変化、そして彼らを取り巻く状況の変化を深く理解することができました。 読み進めるうちに、まるで自分が斧塚の記憶を一緒に辿っているような、そんな感覚に陥りました。

厄介だけど、愛おしいキャラクターたち

斧塚は、一見すると真面目で堅物に見えますが、実は内に秘めた情熱や繊細さを持っています。 一方、石清水は、一見すると傲慢で自己中心的ですが、その行動の裏には、彼なりの事情や、隠された痛みがあることが徐々にわかってきます。 この二人のキャラクター造形が本当に素晴らしい! 特に石清水の複雑な心の動きは、読者の想像力を掻き立て、彼への感情が揺れ動くのが止められませんでした。最初はムカつく行動ばかりでしたが、物語が進むにつれて、彼への理解が深まり、そして、ある種の愛おしさすら感じ始めていました。 二人の関係性は、まさに「お互いを理解し合う」という過程そのものであり、読んでいて本当に胸が締め付けられる思いでした。

読み終わった後の余韻

この作品は、単なる恋愛漫画ではありません。 過去のトラウマや心の傷、そして人間関係の複雑さといった、普遍的なテーマが深く描かれています。 だからこそ、読み終わった後、深い余韻が残ります。 そして、登場人物たちの未来を想像せずにはいられません。 幸せになってほしい、そう切に願わずにはいられないのです。

少しだけ残念な点

強いて言えば、もう少し石清水の過去について掘り下げてほしかったという点です。 彼の行動の理由や、心の奥底にある葛藤が、もう少し詳しく描かれていたら、さらに感情移入できたのではないかと思います。

まとめ

「僕をこんなにしておいて」は、過去と現在、そして記憶と現実が交錯する、感動的なBL漫画です。 繊細な描写と、魅力的なキャラクター、そして胸を締め付けるようなストーリー展開は、BL好きはもちろん、そうでない人にも強くおすすめしたい作品です。 単なる恋愛だけでなく、人間ドラマとしても非常に完成度が高く、何度も読み返したくなる、そんな作品でした。 まさに、忘れられない一冊となりました。 星5つ、満点です!

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