『背後にメガネ【単行本 分冊版】２』レビュー：甘さと危うさの絶妙なバランス
この『背後にメガネ【単行本 分冊版】２』、正直、表紙を見ただけで既に心臓がバクバクしていました。あの美苑くんの、あの色気のある眼差し……！そして、あのタイトル！もう、期待値MAXで読み始めました。期待を裏切らないどころか、それを遥かに超えてくる素晴らしさだったんです。
美苑くんの執着、甘さ、そして狂気
前巻から続く美苑くんの端月さんへの異常なまでの執着。それが単なるストーカー的なものではなく、どこか歪んだ愛情、そして圧倒的な献身によって成り立っているところが、この作品の最大の魅力だと思います。 「おっと失敬…つい射精してしまいました」という台詞、最初は笑ってしまいましたが、読み進めるうちに、その言葉の裏に潜む美苑くんの深い、そして切ない感情が伝わってきて、胸が締め付けられる思いでした。EDであるという設定も、このキャラの魅力をさらに際立たせていますね。彼は、端月さんへの想いをすべて行動で表現するしかできない、そんな不器用な青年なのかもしれません。その不器用さが、かえって切ない魅力になっていると感じました。
端月さんの反応、そして二人の関係性
一方の端月さん。美苑くんの異常なまでの愛情表現に、戸惑いながらも、少しずつ心を許していく様子が丁寧に描かれています。 彼の反応がリアルで、読んでいて共感できる部分が多かったです。 普通だったら、すぐに通報したり、距離を置いたりするでしょう。しかし、端月さんは、美苑くんの行動の背景にあるもの、その純粋な想いを少しずつ理解していく過程が、本当に素晴らしかったです。 二人の関係性は、決して健全とは言えない、むしろかなり危険な香りがするのですが、その危うさが逆に魅力的なんです。 甘く、そして切なく、時に恐ろしい二人の関係性が、ページをめくるごとに深まっていく様は、本当に目が離せませんでした。
繊細な描写と、心を掴む演出
作者さんの描写力の高さにも感服しました。特に、美苑くんの感情表現が素晴らしいです。 言葉だけでは伝えきれない、微妙な表情の変化や仕草が、まるで目の前で見ているかのように感じられました。 例えば、端月さんと触れ合った時の美苑くんの表情の変化、その細やかな描写が、彼の心情を深く理解させてくれます。また、二人の間の距離感、空気感なども、見事に表現されていて、本当に引き込まれました。
分冊版としての感想
分冊版ということで、単行本と比較してボリューム感は少なめですが、この作品に関しては、この分冊版の構成も個人的には気に入っています。 一気読みできるボリューム感で、ストーリーの展開も非常にテンポが良く、あっという間に読み終えてしまいました。 単行本でまとめて読むのも良いですが、この分冊版の構成は、感情移入しながら読み進められるという意味で、非常に効果的だったと思います。
全体の感想
全体的に、甘さと危うさのバランスが絶妙で、最後までドキドキしながら読むことができました。 美苑くんの異常なまでの愛情表現に最初は戸惑いますが、読み進めるうちに、彼の純粋な想いに心を奪われ、最後は彼を応援したくなってしまう自分がいました。 BL作品として、非常に完成度が高い作品だと思います。 BLが好きな方、そしてそうでない方にも、自信を持っておすすめできる一冊です。
最後に…
美苑くんと端月さんの今後の展開が、とても気になります！ ぜひ、次の巻も早く読みたいです！ そして、この作品、アニメ化してほしい…と切に願っています。 あの美苑くんの表情、あの二人の関係性を、アニメーションで見てみたい！ 想像するだけで、胸が高鳴ります。 本当に、素晴らしい作品でした！ ★★★★★ (5つ星)
