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【BL漫画・BLコミックレビュー】硝子体温症候群(分冊版) 【第1話】

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硝子体温症候群【第1話】 ――触れられない体温、溶け合う感情。

初めてこの作品を読んだ時、タイトルの「硝子体温症候群」という、どこか病的で儚げな響きに心を奪われました。そして、読み進めるにつれて、そのタイトルが物語の核心を的確に捉えていることに気づかされました。 二条と遠海の、相反するようでいて、深く結びつく関係性。それはまさに、脆くも美しい硝子の体温のようでした。

完璧な仮面と隠された脆さ――二条の複雑な心象

二条は、一見完璧な優等生。クラス委員長を務め、周囲からは好意的に見られ、憧れの的となっています。しかし、その輝かしい表層の下には、他人との接触への強い拒絶反応、そして、それ故の孤独が潜んでいます。 「他人からの好意や期待が不快」という、彼の心の奥底にある吐露できない感情は、読んでいて胸が締め付けられる思いでした。 この描写の繊細さ、そして、その繊細さ故に生じる彼の内面の葛藤は見事としか言いようがありません。 完璧に見せかけることでしか、自分の心を守ることができない、そんな彼の苦悩が痛いほど伝わってきました。 特に、先生から遠海の家庭訪問を頼まれた際の、彼の微妙な表情の変化や、内心の動揺の描写は、彼の複雑な心を鮮やかに描き出していました。 表面的な優等生像とのギャップが、彼のキャラクターをより魅力的なものにしていました。

閉ざされた世界からの解き放ち――遠海の静かな存在感

一方の遠海は、不登校のクラスメイト。言葉は少なく、自身の感情を表に出すことをしません。 彼の存在は、まるで静寂の中でひっそりと咲く、一輪の花のようでした。 二条とは正反対の、内向的な性格である彼ですが、その内に秘めた強さを感じさせます。 二条とは異なり、外からの刺激を遮断することで自らを防御しているように見えます。しかし、その静けさの中に、深い感情が眠っていることが、彼の冷たい手を通して、そして、後に明らかになる彼の過去を通して、徐々に読者に伝わってきます。

偶然の接触と、芽生える感情――触れることの脆さ、そして強さ

二条が遠海の家に訪れた時、不意に触れた遠海の冷たい手が、彼の心に何らかの変化をもたらします。 「他人に触られるのは嫌い」だった二条が、遠海の冷たい手から不思議な心地よさを感じたという描写は、非常に印象的でした。 この描写によって、二条の心の壁が、少しずつ崩れ始めていることが分かります。 そして、アダルトチャットサイトでの出来事が、その変化をさらに加速させるきっかけとなります。 このシーンは、繊細な描写と、大胆な表現のバランスが絶妙で、読者の心を掴んで離しません。 性的な描写は過激ではありませんが、彼の心の奥底に潜む欲求、そして、それに対する戸惑いを巧みに表現していて、非常に効果的でした。 この出会いが、二人の関係性を大きく変えていく、重要な転換点であると感じました。

単なる性的な描写を超えた、心の繋がり

この作品は、単なる性的な描写にとどまらず、二条と遠海の心の繋がり、そして、互いの傷を癒していく過程を描いています。 彼らの関係は、肉体的な接触だけでなく、言葉にならない共感や、互いの存在への依存という、より深いレベルでの繋がりへと発展していく予感を感じさせます。 第1話ということもあり、関係性の発展はまだ始まったばかりですが、今後、二人の関係がどのように深まっていくのか、そして、二条の「硝子体温症候群」のような脆い心が、どのように変化していくのか、とても楽しみです。

繊細な描写と、先の見えない展開に期待

全体を通して、この作品は非常に繊細な描写で構成されています。 登場人物たちの心理描写は深く、彼らの内面世界を鮮やかに描き出しています。 また、物語の展開も、読者の予想を裏切るような、先の見えない展開になっており、次の展開が待ちきれません。 「硝子体温症候群」というタイトルが示唆する通り、二人の関係は脆く、儚いものかもしれませんが、だからこそ、その美しさ、そして、切ない魅力に惹きつけられます。 これは、単なるBL作品という枠を超えた、人間ドラマとして、高く評価できる作品です。 今後の展開に、大きな期待を抱いています。 分冊版ということで、じっくりと二人の関係の深まりを味わえるのも、この作品の魅力の一つだと思います。 続きが早く読みたいです!

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