レイニーデイズビー 3巻 ――胸が締め付けられる、切ない恋の行方
ついに3巻…！発売日を指折り数えて待っていた『レイニーデイズビー』の最新刊を、やっと手に取ることができました。毎回、読み終えた後には独特の余韻に浸り、しばらく現実に戻れないあの感覚…今回もまた、その魅力にどっぷり浸かってきました。
律可の揺れる気持ち、そして百への想い
前巻で、百への想いに気付き始めた律可。しかし、その気持ちは葛藤と不安に満ち溢れていて、読む私自身の胸も締め付けられる思いでした。「特別な相手なんていらない」と、自分を強く保とうとしていた律可の殻が、百との関係の中で少しずつ、しかし確実に崩れていく様は、本当に繊細で美しく描かれていました。 今まで、自分の感情を素直に受け止めずに生きてきた律可が、初めて自分の心に正直に向き合う姿は、見ているこちらも勇気づけられるものがありました。
特に、百が離れていくかもしれないという不安に駆られるシーンは、言葉にならない感情が溢れていて、胸が痛みました。あの焦燥感、必死さ… 律可の表情や仕草、そして内面で渦巻く感情が、作者さんの素晴らしい描写によって鮮やかに伝わってきて、まるで自分が律可になったかのような感覚に陥りました。 今までクールで感情を表に出さない律可だったからこそ、この変化の大きさが際立ち、その心の揺れがより一層、心に響いてきます。
百の優しさ、そして二人の距離感
一方、百の方はというと、律可の気持ちに気づきつつも、自分の気持ちをうまく表現できないもどかしさ、そして律可への深い愛情が、控えめながらも確実に伝わってきました。 律可の気持ちに気付いてからの百の行動一つ一つが、律可への深い愛情を感じさせ、彼の優しさに何度も心が温まりました。言葉にしなくても、お互いの気持ちが伝わってくる、そんな二人の関係性が本当に素敵です。
しかし、その一方で、二人の間にはまだまだ越えなければならない壁があることも感じさせられました。 言葉にならない想いを抱えながら、お互いを理解しようと努力する姿は、見ていて切ないながらも感動的でした。 この微妙な距離感、そしてこれからどうなっていくのか… 次巻が待ち遠しくてたまりません！
心に残る名シーンの数々
この巻で特に印象に残っているのは、雨の中での二人のシーンです。 雨の描写が本当に素晴らしくて、二人の感情と見事にシンクロしていました。 まるで、雨粒一つ一つが二人の心の動きを表現しているかのようでした。 このシーンだけで、この巻を読んだ価値があったと思えるほど、感動的で、そして美しいシーンでした。 繊細なタッチの絵柄と、雨音と二人の会話が重なり合う描写…何度も読み返してしまうほど、心に残る名シーンです。
また、律可が自分の気持ちに気付いてからの、心の変化も丁寧に描かれていて、共感できる部分が多くありました。 誰しもが抱える葛藤や不安、そして喜び… そういった感情を、律可を通して改めて感じることができました。 自分が過去に経験した、似たような感情を思い出したりして、感情移入して涙が止まらなくなる場面もありました。
これからどうなるの！？ 期待と不安が入り混じる次巻への期待
3巻を読み終えて、正直、複雑な気持ちです。 幸せな気持ちと、少しの不安と、そして何より、次巻への期待が大きく膨らんでいます。 二人の関係性がどのように発展していくのか、そして、二人の前に立ちはだかる壁をどう乗り越えていくのか… 想像するだけでドキドキして、早く次巻が読みたくて仕方ありません。
この作品は、BLというジャンルを超えて、普遍的な愛や心の葛藤を描いていると感じました。 単なる恋愛漫画としてだけでなく、人間ドラマとしても非常に完成度の高い作品だと思います。 BLが好きな人だけでなく、そうでない人にもぜひ読んでほしい一冊です。 繊細な描写と、胸を締め付けられるような切ないストーリー、そして何よりも、二人の揺れる恋模様… この作品の魅力を言葉で表現するのは難しいですが、とにかく、読んで良かったと心から思える、そんな作品でした。 次巻も、心して待ちたいと思います。
